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「えぇ、元気です。母が、よろしくと言っていましたよ。
それより、俺の就職先を見つけてくれたって聞いたんですけど、本当ですか?」
この頃、リラはまだ料理学校の学生だった。
卒業後に日本料理を学ぶため、日本にツテのある伯父に頼み、就職先を探してもらっていたのだ。
「おう。だから呼び出したんだよ。向こうの知り合いに紹介してもらったんだ。東京にあってな、しかも高級ホテル。そこの厨房を任せると言ってくれたんだ。」
どうだ、すごいだろう、と胸を張る。
確かにすごい。優秀な学生とはいえ、外国人の、それも経験の浅い人に厨房を任すなんて、普通ありえない。
しかし…
「もしかして、評判がすごく悪いとか…?」
ならば、何か問題があるホテルなのかも知れない。せっかく日本まで行くのだから、変なとこに行きたくはない。伯父には悪いが、そういうことなら断りたい。
うろんげな目で伯父を見つめるが、
「いや。客からの評判は良いよ。設備も充実しているしな」
と、保証されてしまった。
「なら、どうして俺みたいな若造を?」
心配は杞憂だったみたいだが、それでも、やはり理由は聞いておきたい。
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