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国中のチョコレートを集めたのだ。もうどこにもチョコレートは無い。
最後の、最後の子供の夢だけを叶えてやれない・・・。
国王は悔しさに歯ぎしりしながら、ゆっくりと、深く頭を下げた。
状況が掴めない子供はキョトンとしている。
「本当にスマンが・・・」
声を絞り出す国王。
その時だった。
「ちょほぃと待ちなは。」
頭を下げた国王の後ろに、太陽光を背にした男が現れた。
見ると男は異人のようだった。国の言葉は方言交じりだが流暢に聞こえた。
「お譲ちゃん。チョコポッキーとチョコバームクーヘン、どっちがいい?」
男は、国では高価とされる2種類のチョコを手に持っていた。
「チョコポッキーがいい!」
子供は嬉しそうに受け取り、走り去った。
王宮は事態を飲み込めないままでいた。
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