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「どなたか存じませんが、本当に助かりました。何とお礼を言っていいか・・・。」
国王は涙目でお礼を言った。
「いやいや。気にしなくていいゼ。当然のことをしたまでだ。」
男は軽く答えた。答えながら残ったチョコを食べている。
「お名前を・・・聞かせていただけないか。」
国王が問う。
「ウィカだ。よろしく国王。」
「おお、恩人ウィカ、ありがとう。これでこの国の子供は皆、願いが叶った。本当に、よくぞチョコを持っていてくれた。」
「ああ、これ?さっき王宮の前でガキ達が持ってたからサ。」
翌年、その祭りでは子供の要求も聞かず、チョコレートだけが一方的に配られた。
「ごめんね。王様、去年から狂っちゃって。」
王宮の人間達は口を揃えてそう言った。
〈完〉
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