機械仕掛けの透明スーツ

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「わかりやすく説明すると、例えばお前の前に1枚の大きなモニターがあるとする。 そして、そのモニターの横に、お前を通り抜け、お前の後ろを写すカメラがついているとどうなる?」 「そうか、オレの後ろをモニターに映すことで、前からモニターを見る人間にはオレが見えずに後ろが見えるってワケか。」 「ほっほっほ。なかなか賢いではないか。その通り。 このスーツは、数千万の超X線ミクロカメラとミクロモニターの集合体じゃ。 どの角度から見てもお前さんを通り越した映像しか見えん。」 「でもそれなら背中に後ろを写すカメラつけたらいいんじゃねぇのか?」 「それは数十年前の発想じゃ。それだと見る角度と背中についてるカメラの角度を計算するのに、今の科学でも1cm四方以上のチップが多量にいる。 そうするとカメラとモニターの数が・・・」 「わかったわかった。すげぇよ。買おう。」 「全く。どいつもこいつも最後まで話を聞かん奴ばっかりじゃの。」 男は大きなケースに入った札束を博士に渡した。
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