序章

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『……まぁなんでもいいわ。んで、なんか見付かったん?』  無線から聞きとれる声が先程とは調子が変わり、少し神妙さを帯びた。 「うぅん、なーんにもないよ~」  かのんは相手が見ていないのに首を大きく左右に振る。 「あ! 鳥が下飛んでった~」  好奇心から外の景色に気をとられるかのん。  言動からしてこのかのんと言う少女はおっとりした性格なのだろう。 『ふーん、鳥くらいなら……って、下飛んでたって危ないやんか!』 「えへへ~大丈夫大丈夫ー」  かのんは腑抜けた笑みを称えて計器類に向き直った。  外はいまだ白い雲海と蒼い天井が延々と続くばかりである。
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