祝福の国

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アルシオンと瑠可は肩で苦しそうに息をしていた。 どうやら、避ける事を前提に戦っていた為、二人共かなり疲労している。 「瑠可、まだ行けるか?」 「当たり前だ!こんな所じゃあ死ねないからな。死ぬならベッドの上だ」 いつもの軽口を叩く瑠可だが、顔には疲労の色が隠せず、短く切った燃える様な赤毛も汗で濡れている。 「よし!さっきと同じ作戦で行く。私が2体引き付けるから、お前は残りの1体を頼む」 先程の戦いでアルシオンもかなり消耗していたが、自分よりも力の弱い瑠可を気遣って、2体を受け持つ事にした。 瑠可も内心では反発しながらも、今はその気遣いが嬉しいようだ。 「いいか、死ぬなよ」 瑠可がアルシオンの真似をしながら、いつもの軽口を叩く。 「それは私の台詞なのだがな」 少し笑顔を浮かべながら、アルシオンは2体の敵に向かって行く。 数歩先に近付いていた敵と武器を合わせた時、何かが飛んできて、突然目の前の敵が倒れ込む。 よく見ると、その敵の首の辺りにナイフが刺さっているのが見える。 後ろから迫っている敵との距離を確認してから振り返ると、ナイフを投げたままの姿勢でアルシオンに向かって叫ぶ結希の姿があった。 「アルシオン!前を見て下さい!奥からもう2体出て来ています!」 その言葉を信じたくないアルシオンは、心に不安が押し寄せるのを振り払いながら、前方の草むらに目を向ける。 そこには、先程戦っていた蛮族と同じ格好をした者が2体、新たに彼女達の方向へ向かって来る。
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