祝福の国

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「接触したみたいね」 いつもと変わらぬ口調でアマテラスが隣にいるヅミーに話し掛ける。 前列の二人が戦闘を開始するのを確認してから、弓を撃つ事を止めていた。 「そうみたいですね。私達はどうしますか?同じ数なら隊長達だけで十分ですが」 遠慮がちに意見を求めたヅミーにアマテラスは不安げな表情をしながら答える。 「ええ、同じ数ならね」 意外な答えが帰ってきた事に驚きながら、ヅミーは聞き返す。 「他に敵が潜んでいると思いますか?相手は蛮族ですよ。そんな作戦を思い付くとは考えられません」 同じく不安げな表情をして聞き返すヅミーに、アマテラスは自分の考えを語りだす。 「ヅミーも知っていると思うけど、ローラン山脈は雲より高い霊峰よ。まだ、冬になっていないと言っても、四人だけであの山脈を越えられるかしら」 いつも的確な意見を言うアマテラスの答えに、ヅミーも戸惑いながら賛同する。 「じゃあ私達はどうすれば良いですか?前に出ても隊長達の邪魔になるし、弓は使えませんよ」 どう行動するか迷っているヅミーに、アマテラスは諭す様に話し掛ける。 「ヅミー、貴女は士官学校で弓だけを学んでいたの?一応、剣の扱いも学んだ筈よ」 そう言いながら、テントにある木箱から普通の剣より軽いレイピアを持ち出す。 そのレイピアをヅミーに渡してから、二人はアルシオン達の元に向かう。
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