7人が本棚に入れています
本棚に追加
「接触したみたいね」
いつもと変わらぬ口調でアマテラスが隣にいるヅミーに話し掛ける。
前列の二人が戦闘を開始するのを確認してから、弓を撃つ事を止めていた。
「そうみたいですね。私達はどうしますか?同じ数なら隊長達だけで十分ですが」
遠慮がちに意見を求めたヅミーにアマテラスは不安げな表情をしながら答える。
「ええ、同じ数ならね」
意外な答えが帰ってきた事に驚きながら、ヅミーは聞き返す。
「他に敵が潜んでいると思いますか?相手は蛮族ですよ。そんな作戦を思い付くとは考えられません」
同じく不安げな表情をして聞き返すヅミーに、アマテラスは自分の考えを語りだす。
「ヅミーも知っていると思うけど、ローラン山脈は雲より高い霊峰よ。まだ、冬になっていないと言っても、四人だけであの山脈を越えられるかしら」
いつも的確な意見を言うアマテラスの答えに、ヅミーも戸惑いながら賛同する。
「じゃあ私達はどうすれば良いですか?前に出ても隊長達の邪魔になるし、弓は使えませんよ」
どう行動するか迷っているヅミーに、アマテラスは諭す様に話し掛ける。
「ヅミー、貴女は士官学校で弓だけを学んでいたの?一応、剣の扱いも学んだ筈よ」
そう言いながら、テントにある木箱から普通の剣より軽いレイピアを持ち出す。
そのレイピアをヅミーに渡してから、二人はアルシオン達の元に向かう。
最初のコメントを投稿しよう!