祝福の国

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「クソッ!まだ隠れていたのか」 先程キャンプで瑠可が使っていたような汚い口調で、アルシオンは悪態をつく。 奥の草むらから現れたのは、3人の蛮族だった。 「流石に5対2では勝ち目は見えている。どうやって切り抜ける?」 残った一人の攻撃を受けながら、アルシオンは必死に考えを巡らせていた。 その時、隣で戦っていた瑠可の方から、奇声が聞こえてくる。 瑠可は、自分の相手を倒したらしく、新しく現れた3体の蛮族に向かって行く。 瑠可の足元には、両脇から大量の血を流した蛮族が倒れている。 「待て!自重しろ瑠可!お前では3人の相手は無理だ!」 半ば諦めかけて言った言葉だったが、瑠可は走る事を止めて、アルシオンの方向へ振り向く。 「一々アンタは正論が多いんだよ」 その言葉に少し腹が立ったのか、そんな事を頭の中で思いながら、アルシオンの援護をする為に引き返す。 「早くコイツを終わらせなければ」 そう決心したアルシオンは、今までの戦い方を止めて、少々強引な手段に出た。 まず、先程までの様に避ける事を前提とした戦い方ではなく、正面から斬り合う手法に変える。 6太刀程斬り合ったところで、ハルバードの柄を敵の顔面に叩き込む。 その一撃を受けた敵は、軽い脳震盪を起こしたらしく、一瞬の隙が出来た事をアルシオンは見逃さなかった。 柄で顔面を殴った返し刃で、ハルバードの先端を敵の頭に振り上げる。 無惨な肉塊となった敵を横目で確認しながら、合流した瑠可と共に、アルシオンは3体の蛮族に向かって行く。
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