とある歌とお姉さん

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「…どうでもいいですけど、ギターのコードめちゃくちゃですよね?チューニングも合って無いし!」 「……えっ!?」 実は前々から、このアパートを通る度に気にはなっていた。 「…あらら、もしかしてあんたギターやってんの?」 「…少しかじった程度です」 別に俺は特に音感が優れているわけでは無いが、ギターは少しやったことがあるので、お姉さんの奏でる音に違和感がある事ぐらい分かる。 「いやぁ~、誤魔化せるって思ってたんだけどねぇ~?」 お姉さんは笑いながら言った。 …確かに、はっきり言って細かい音のズレやコード間違いぐらいなら、ある程度の誤魔化しは利くだろう。 しかし、お姉さんのギターは明らかに音がめちゃくちゃで、おそらくギター初心者でも分かるぐらい、 (適当に弾いてんだろうな~?) って感じの音だった。
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