ボロアパートとお姉さん

7/7
前へ
/113ページ
次へ
「あはは!!見事にフラれたねぇ?あんた!」 その時だった、どこからともなく女の人の声が聞こえた。 (誰だ!?) 俺は辺りを見渡して、無神経な声の主を探した。 「よっ!」 そう言って手を挙げてるのは、ボロアパートに住んでいる、2階の住人だった。 「…盗み見は良くないですよ?」 そう言いながら、俺はベランダにいるその女性を見た。 その女性は、Tシャツ姿に、長い髪は適当に束ねただけのラフな格好。 身長は女性にしては高めで、顔立ちは決して美人では無いが整っている。 「あぁ、ごめんごめん!いやぁ~、でも青春だねぇ~?」 ベランダの女性は、まだ笑っている。 俺はそれに少しムッとしたので、仕返しにと前から気になっていた事を言った。 「…どうでもいいですけど、いつも弾いているギターのコードめちゃくちゃですよね?チューニングも合って無いし!」 「……えっ!?」 それが俺と、ボロアパートのお姉さんとの出会いだった。
/113ページ

最初のコメントを投稿しよう!

228人が本棚に入れています
本棚に追加