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キングは伊吹に発言権を譲った。
「伊吹。次は爆破までの作戦の流れや前回での留意点を発表しろ」
伊吹はまた淡々と機械的な発表をする。
「我々は前回のプロジェクトAでの研究結果から、追い詰められた人間の強さを学んだ。ゆえに今回の行動にも鍵となる人間数人を使い起爆の要に据える。無論、前回失敗した部分に関してはすでに対策済みだ。どのように……」
会議の最中、禎清は伊吹の話に退屈したかのように苦笑いをしながら立ち上がり話の腰を折った。
「何が平等だよ。この計画は参加した人間のみ見返りがあるじゃねーか。仮に資産家や組織の協力者がいるとしてそいつ等も含めてな。つまり、完全なインサイダー取引と一緒だ。俺は寝返るのでそのつもりで」
一見、流れと空気を読まないこの発言に反論する者はいない。
ただ会議室に流れる緊迫感と一部メンバーの極度のストレス、そして、不気味な違和感だけを残して禎清はその場を離れた。
禎清が退席した事を確認した後で、やっとそれまで怒りを抑えていた神田がキングに質問を投げかけた。
「本当にあいつだけにわがままを言わせて良いんですか?」
キングは何事もなかったかのように質問を無視した。
「………………」
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