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八雲の顔はその一瞬で引きつっていた。
「嘘だろ。禎清さんが………八蛇っ?」
そして
八雲は禎清がその言葉を聞き取れる程近くに迫っていても、思わず声に出してしまう程に驚いていた。
「そうだよ八雲。何か問題があるのか?……例えばお前がサンクチュアリのキングを語っているのならば、俺はお前を殺さなければならない」
禎清は余裕の無表情で八雲に顔を近付けてきた。
八雲の額からは嫌な汗が滲んでいた。
「……………くっ。」
先程の戦闘で感じた事。禎清はまさしく、あの時惨敗した山崎鳴魅クラスなのだ。
そして八雲は自分があれからどんなに訓練をしても、越えられない壁がある事を実感した。
八雲は弱気な自分を征する様に、必死で奥歯を噛みしめていた。例え負けてしまおうとそんな事は問題じゃない。やるしか無いし、どの道そこに辿り着く事は絶対なのだ。
「………俺がキングだっ!」
その瞬間に八雲を見詰める禎清の視線がが緩み、右手で優しく八雲の頭を撫でた。
「良く言ったぞ八雲。お前がそう言わなかったら本当に殺してた所だ。」
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