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その少女には好きな人がいる。
毎朝、同じ電車に乗る、違う学校の男の子だ。
話しかけることはない。
ただ、彼の傍に近寄って、そっと彼を感じている。
「コクれば?」
と友だちは言うが、少女は踏み出せない。
もしフラられたら、立ち直れないと、少女は思う。
友だちは、
「見て、これあたしのカレシ」
と、ツーショット写真やプリクラ、携帯の待ち受けを見せびらかす。
それが、少女には羨ましい。
(ああ、あたしもあの人とのツーショット写真が撮れればいいのに…)
でも、そんなことは夢だ。
彼女は、今日も彼と同じ電車に乗り、彼の傍らに立つ。
彼女は窓を見る。
そこには、彼女と彼が映り込んでいた。
少女は思った。
(ああ、これがあたしたちのツーショット写真なんだ)
(オワリ)
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