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家に帰ってからは、鼻孔をくすぐる朝ごはんの良い香りが食欲を湧かせて、ペロリと米一粒も残さず綺麗にたいらげた。
それからは寺子屋へ行き、いつも通りの授業を受けて再び家へ帰ってきた。
自分の部屋に戻る際に、今朝の様なトラップがいくつか仕掛けてあったのは言うまでもない。
「この家で安全に過ごすことって出来ないのかな…」
出来ません。
物思いに耽っているといつの間にか、午後9時を回ったところ。
そろそろ時間かと、腰を浮かせた瞬間……
「わったるぅー!」
「わわっ! ッ…何だよ、母さん…」
突然の訪問者が母親だったことにびっくりする。
だって曲がりなりにも、思春期の男の部屋に、ノックも無しに入るんだよ!? びっくりしない人が居たら、お目にかかりたいね。
………あ、居る?
「てか、母さん。用事は何?」
「うふふっ。実はね……」
ジャジャーンと言って俺に見せた物は、ただの服。
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