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「似ー合ーうーっ!」
思った通りの派手さに脱ごうかと考えたが、母の一撃必殺の一言でその考えは打ち消された。
「脱いだら………、うふふ」
「あ、あははー……」
人間の第六感は侮れないと痛感した瞬間だった。
「そろそろ時間だし行ってくるよ」
「頑張るのよ! 気を付けてね! 必要な物は持った? ハンカチは大丈夫!?」
「大丈夫だって。心配し過ぎなんだよ、母さんは」
盗みにハンカチは必要ないっていうことは触れないでおく。
「行ってきまーす」
「気を付けてねっ」
「はぁーい」
大きな不安と小さな期待を抱え、俺は佐倉美術館へと向かった。
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