111人が本棚に入れています
本棚に追加
───屋上─
「やっぱ変装は必須だよなー」
時間にして5分ほど前。
航は新撰組の隊士として変装し、館内に紛れ込んで仮面を盗んできたのだ。
「いやー、バレてなくて良かっ……」
「何がバレてないって?」
「!?」
後ろを振り返ると扉の傍らに、土方 歳三。
(また背後とられた…)
「お前が怪盗フロードだな?」
「そうだけど…」
変装して顏も変えてるのによく分かったな。
ふと、そんな思考を巡らせた瞬間…
「ッ!!」
一気に間合いを詰められ、後ろは地面、前には鬼神が居るではないか。
「ちょ、手首が痛いんですけど」
「痛くしてるんだから当たり前だろ?」
新撰組では人を押し倒すことが流行ってるんですか?
「観念するんだな」
そう言って土方が手錠を掛けようとした瞬間、命の危険を感じた航の中で、何かが弾けた。
(…っ……熱、い…)
心臓が抉られるような感覚に気を失いそうになる。
「ぅ、あ゙ぁぁぁぁっ!!」
そして痛みが引き、正気に戻った時に、ふと気付く。
…もう一人のオレが身体の中にいるということに。
.
最初のコメントを投稿しよう!