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──航 side──
何、コレ……。
俺の意思とは裏腹に、勝手に動く手足や口。
「じゃ、コレ貰ってくわ」
この言葉も仮面を顏に着ける動作も、俺自身の意思でやっているわけではない。
しかし、目の前の土方さんは焦ったようで。
「は? オイ、ちょっ…」
土方さんの言葉を最後まで聞かずに翼を広げる俺。
「またな。鬼の副長さん」
そう言い残して美術館を去った。
かっこよく去ったところまでは良かったよ。うん。
問題はそこからですよ。
気のせいだと思いたいんだけど……。
俺、急降下してねェか!?
(翼は!?)
背中を見るために顔を後ろに向けると………。
「……なな、な、…無いッ!」
マジで冗談キツいんですけどォォォ!!
ドシャーン...ガサササ..
「痛っテテテ……。ふはー、助かったぁ」
木のおかげで大きな怪我もなく、無事に地上に降り立つことができた。
クソぉ…
涙目になったじゃねェかよ…。
落ちてるときに、今までの思い出が走馬灯のように見えちゃったからね。
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