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「こんなに怪我したのは、全部アイツのせいなんだっ!!」
体のあちこちに、打撲したと思われる痣を擦りながら大声で喚く俺。
「クソー! 意外と痛いんですけどッ!」
『夜間に大声出すとウルセーんだよ!』
「ッ?」
今、この場にいるのは俺だけだよな!?
そう思って辺りを見渡したが、やはり自分一人。
「誰だよ、も~…」
『俺だ』
「だから誰!?」
アレか!?
心の中に住んでるっていうアレ!
二重人格的なやつ!?
『アレじゃねェ! フロードだっ! ちゃんとした名前があるんだからソッチで呼びやがれ!!』
「初対面なのに名前なんて分かるかァァァ!!」
夜間だろうが民家の中心だろうが、そんなの関係ない。思いっきり叫んだ。
「大体、なんで歴史的に有名な大怪盗が俺の中にいるんだよ…」
『あれ?恭平に聞いてねェの?』
「何を?」
恭平【キョウヘイ】ってのは、俺の親父の名前ね。
『葉山家の男は怪盗を受け継ぐって』
「あ~…、そのようなことを聞いた気がします…」
あの時は、そんなに深く考えてなかったし。てか、親父は軽く流しやがったし。
それから俺は、家への道を歩きながら怪盗についての様々なことをフロードに聞いた。
15歳になると家業として怪盗を受け継ぐこと。
その際に、フロードと一心同体になること。
葉山家の使い魔が空を飛ぶときの翼になること。
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