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現実と幻想の狭間を行き来する糸の切れた操り人形(マリオネット)
その顔には笑みをたたえ、只重力に従い真っ直ぐに堕ちてゆく
そのガラス玉の目には何が映っているのだろう?
ーー不意に誰かが操り人形に糸をつけて、引っ張り上げた
それでも操り人形は微笑んだまま
引っ張り上げた先には1人の青年がいた
『ずっと独りだったんだね。あんな処にいて寂しくないの?』
操り人形は応えない
『何故笑ってばかりいるの?話せないのはつまらなくないの?』
青年が再び問いかけても操り人形は只笑っていた。
どんなに精密に出来ていようと、操り人形は所詮人形。
誰かが操らなければ動けないーーそう造られたから
表情も変えられないーーそう望まれたから
話すこともできないーー操り人形に言葉はいらない
『…じゃあ、僕が君のマスターになってあげる。だから君は僕の為に、泣いたり笑ったり話したりしておくれ……ルディ』
青年はまるで人形の心を理解したかのように微笑み、操り人形に名を与えた。
操り人形は何も言わない
でも、まるで応えるかのように人形の腕に付けられた鈴が微かに音をたてた。
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