時空の波

9/9
1360人が本棚に入れています
本棚に追加
/363ページ
「とにかく来い!!」 腕を強く引っ張られた。 「いったあぁ!! 辞めてよ、離して!!」 強引さに腹が立ち、怒鳴って抵抗を示す。イケメンだからって何でもしていいと思うな。 瞬間、首筋にひんやりとした感触が走った。 恐る恐るそこへ視線を向けると、キラリと鋭い光沢を放つ刃物がそえてあり、あと少しこちらへ押しこめば首が飛びそうである。 「ぎゃひぃぃいっっ!!」 驚きのあまり変な声が出た。 それは、さっきから気になってたお腰のモノかな。聞きたくても恐怖で聞けない。 あれ、わたしの勘違いかな。あれ、頭がこんがらかって何が何だか…。 「…それって、偽物だよね……?」 イケメンは不敵な笑みを浮かべた。 「試してみるか……?」 首筋に少し刀を食い込ませると、鋭い痛みがあたしを襲った。 真っ赤な生暖かい雫がポタっと地面に滴り落ちる。 「!!!!」 声を上げることなく、恐怖に慄きそのまま気絶してしまった。
/363ページ

最初のコメントを投稿しよう!