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キーンコーン……
チャイムが鳴ると同時に授業終了の合図がかかる。
わたしはぼーっと机に肘を付き、どこまでも果てなく続く青を仰いでいた。すると、眼を後ろから誰かの手で覆われる。
先程とは対称に色の無い世界が広がった。
「だぁーれだ?」
その聞き覚えのある声に、わたしは口角をあげて微笑んだ。
「かおりでしょ?」
「正解ー!
よく分かりました!」
毎日毎日やられているものだから嫌でも分かってしまう。光を遮るものが無くなると、さっきまで無機質だった世界が光に包まれ、ひょこっと横から顔を出す大きな瞳が特徴の可愛らしい少女が目に留まる。
わたし、田島志乃の親友の神谷かおりだ。
無邪気に、はにかんだ笑顔がとても可愛い。男はこの表情ひとつですぐおちる。
わたしとかおりは現在高校2年生。
小さな頃からの幼馴染だ。腐れ縁で小中高と一緒な為いつも共に居る。自他共に心友と認める関係である。
高校もふたりとも、どうしても行きたいという学校も無かったので地元の同じ学校にした。
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