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「ぅう……!!ぃっつぅ…!っう…………!!」
あまりの痛みに意識が朦朧として視界は霞む。
何となく分かるのは、横に寄り添うかおりの面影。
心配する彼女に不安にさせないよう、言葉を掛けてやる事も出来ない。それ位に痛く苦しいのだ。
「志乃……!!しっかりして!」
痛みは一段と増していく。
(もう、むり…)
弱った体から力が抜けて、その勢いで車道へと出てしまう。
「あっ!!」
走馬灯の様に浮かんだ大切な友の顔と声。
薄れて行く意識の中で、こちらへと急速接近してくるトラックを虚ろな目は捉えた。
つんざく様な叫び声と、わたしの名を呼ぶ声が響く。
(かおり…ごめん。マック一緒に行けなくなった……。)
視界が真っ黒に染まり、辛うじて保っていた意識も闇へと消えていった。
そう、これがあたしの長い長い闘いの始まりだったのだ。
地面とタイヤの擦れる音と、摩擦で焼け焦げた匂いがざわめく町に反響した。
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