Train-Man

5/23
前へ
/80ページ
次へ
「……あなた、本当に人を見たんですか?」 目を細めて、警官。 何を言ってるんだ?この男は? 「……何故そんな事を聞くんです?調査でわかったでしょう、あの男は――」 「それがねえ、死体どころか、血痕すら見つかってないんですよねぇ」 ――? 事態が上手く飲み込めない。 確かに俺は見た。 黒いスーツの男が―― こちらを虚ろな目で見つめ――        ・・・・ その上を電車は通過したのだ。 無事なはずがない。 血痕もないなんて―― 「とりあえず、あなたの今後は、そちらの会社に任せます。見間違いだったから、まだよかったじゃないですか」 笑いながら、俺の肩を叩いて警官は部屋から出て行った。 ……見間違い? 『睡眠はきちんと取られていましたか?』 ――なんてことだ。    
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!

93人が本棚に入れています
本棚に追加