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「……あなた、本当に人を見たんですか?」
目を細めて、警官。
何を言ってるんだ?この男は?
「……何故そんな事を聞くんです?調査でわかったでしょう、あの男は――」
「それがねえ、死体どころか、血痕すら見つかってないんですよねぇ」
――?
事態が上手く飲み込めない。
確かに俺は見た。
黒いスーツの男が――
こちらを虚ろな目で見つめ――
・・・・
その上を電車は通過したのだ。
無事なはずがない。
血痕もないなんて――
「とりあえず、あなたの今後は、そちらの会社に任せます。見間違いだったから、まだよかったじゃないですか」
笑いながら、俺の肩を叩いて警官は部屋から出て行った。
……見間違い?
『睡眠はきちんと取られていましたか?』
――なんてことだ。
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