3 現実と妄想

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「あ。居たぁ!」 階段を下ってると、志乃が走りながら寄ってきた。―何があったんだ? 「会長が探してたよ?」 「…私は、何も聞かなかった。」 言いながら、クルリと方向転換して屋上へ再び向かう。 嫌な予感がする。 「ダメよ!必ず連れて行きますって約束したんだから。」 「不必要な約束なんぞするな!」 つい、志乃を叱ってしまった。いや…あたったんだな。 「南巳→。」 私の制服を掴んで離さない志乃に、降参してボヤく。 「正直、不幸だ…。で、何処で待ってるって?」 パアアと明るい表情になって、志乃は言った。 「生徒会室!」 忌まわしき名前だ…。 志乃よ。もう…絶対に約束するなよ? 生徒会室に呼び出しなんて! と 心中で1人、呟いた…。
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