♯3 猫とケーキ

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ガチャッ カラン カラン♪ ベルの音が店内に響いた。 おっ、お客様だ。 「いらっしゃいませ。」 カウンターでくつろいでいた体をドアのほうへ向ける。するとそこには、昨日の少女がいた。 「こ、こんにちは・・・・・・。」 少し気まずそうに顔をうつむけて立っている。制服を着て手には何やら紙袋を下げていた。 「来て下さったのですね。お待ちしておりましたよ!」 「そんな、滅相もない。」 「いいえ。私はあなたが来るのを楽しみにしてましたから。本当に嬉しいのです。」 私が嬉しそう答えると彼女は少しだけホッとしたようで私の前の椅子に腰をかけた。 「あの、良かったらこれ。」 彼女は私に紙袋を渡してきた。 「・・・・・・?これは?」 「一応、ケーキです。昨日のお礼に。美味しいかどうかは分かりませんが。」 「美味しいに決まってますよ。どうも有難う御座います。」 はにかむ様に言った。彼女は少しだけ微笑んで「よかった」といった。 「あ、そうです。」
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