♯3 猫とケーキ

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いや、泣いているのは彼女の方かもしれない。顔を俯けてしまったので分からなかったが。 「ありがとう。」 茶菓を抱きしめ鼻詰まった声で言った。 「さ、二人とも仲良くなったようですし、ケーキが逃げないうちにお茶にしましょう。」 私は冗談を言ってその場を取り仕切った。 「もうっ。ケーキは逃げたりなんかしませんよ。」 彼女は袖で顔を拭ってから、笑ってみせた。
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