シワクチャハンカチ

2/6
前へ
/60ページ
次へ
女の子は涙を流し続けている。 僕は話しかけるのもヤボな気がして、空を見上げる。 どれくらい時間が経ったんだろう。 空は青からオレンジに変わり、僕らの影は伸びる一方だ。 「何も聞かないのね」 ふいに女の子が声をかけてきた。 僕が振り返ると女の子は涙を拭きながらこっちを見ている。 瞳はまだ濡れていたが、力がこもっていた。 それでもどこか不安定で、 "儚げ" そんな意味を、体で、心で、理解した瞬間だった。 .
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加