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女の子は涙を流し続けている。
僕は話しかけるのもヤボな気がして、空を見上げる。
どれくらい時間が経ったんだろう。
空は青からオレンジに変わり、僕らの影は伸びる一方だ。
「何も聞かないのね」
ふいに女の子が声をかけてきた。
僕が振り返ると女の子は涙を拭きながらこっちを見ている。
瞳はまだ濡れていたが、力がこもっていた。
それでもどこか不安定で、
"儚げ"
そんな意味を、体で、心で、理解した瞬間だった。
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