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「ハンカチ」
いきなりの女の子の言葉に、僕はうつ向いて、握り拳を強く握る。
「あ、ごめんなさい。そのハンカチあたしにかなって思って………」
僕のだんまりに女の子が戸惑う。
焦って恥ずかしそうにうつ向く女の子をずっと見ていたい気がしたけれど、また涙が流れると困るので、僕はゆっくりと頷いて、握り拳をほどいた。
「そのつもりだったんだけど…ね」
僕はシワクチャになっていたハンカチを広げて笑ってみせる。
もちろん苦笑いだ。
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