ユートピア

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そして世界がはじまった 無機質な白い壁。 寝心地に不満の無い簡素なベッド。 天井自体が淡く発光し眩しさを感じる事はない。 ただただ空虚に広がる白い部屋。 ドアも窓もなく、継ぎ目も汚れもない。 白い検体服は綿の暖かな温もりを与え、タオル地のスリッパは床の熱を伝えない。 霞みの掛かる額に手をあてしばし考察する。 エアコンにより管理され尽くした空気。 快不快を感じない空間。 ああ、これもまた天国かと納得する。 気がつくといつ届いたのか配膳の済んだワゴン。 無味簡素な金属の食器にはパンとスープ。 パンを手にとりスープに浸して口に運ぶ。 是非のない無機質な感情を頭の奥に感じた。
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