2人が本棚に入れています
本棚に追加
そして世界がはじまった
無機質な白い壁。
寝心地に不満の無い簡素なベッド。
天井自体が淡く発光し眩しさを感じる事はない。
ただただ空虚に広がる白い部屋。
ドアも窓もなく、継ぎ目も汚れもない。
白い検体服は綿の暖かな温もりを与え、タオル地のスリッパは床の熱を伝えない。
霞みの掛かる額に手をあてしばし考察する。
エアコンにより管理され尽くした空気。
快不快を感じない空間。
ああ、これもまた天国かと納得する。
気がつくといつ届いたのか配膳の済んだワゴン。
無味簡素な金属の食器にはパンとスープ。
パンを手にとりスープに浸して口に運ぶ。
是非のない無機質な感情を頭の奥に感じた。
最初のコメントを投稿しよう!