ユートピア

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そして世界がはじまった。 一面の花畑が眼前に広がる。 色とりどり、一つとして同じ色がないようなただただ鮮やかな花畑。 空は高く、一点の霞みも無い。 甘い香りが世界を包み、どこまでもどこまでも駆けて行きたくなる世界。 霞みの掛かる額に手をあてしばし考察する。 穏やかで暖かい風。 サラサラと草の揺れる音。 香り立つ花の匂い。 色鮮やかな景色。 なるほど天国だ。 足元に転がる革張りの鞄を開き、紅茶のセットとビスケットを取り出す。 メープルを掛けて口に含むと嫌みの無い甘さが口腔に広がった。
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