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やがて世界がはじまる。
無限に広がる深い闇。
一筋の光もなく、一点の淀みも無い。
ただただ深い深い闇。
自らの肉体の存在すら忘れそうな程に深い闇。
神経は繋がっているのだろうが、空気すらない空間は、一欠片の圧力も与える事はなく、空虚な世界は自分の体がどこからどこまで続いているのかも教えてはくれない。
虚無な額にあてる手もなく、動いているのか止まっているのか定かではない空間に思考だけが残る。
もしや天国とはこういうものなのかもしれない。
何者も干渉せず、何者にも干渉されない、究極的な自己中心の世界。
一点の光が生まれ、爆発的に光が世界を包む。
不明瞭だった体は輪郭を取り戻し、一続きだった自己の存在が世界から隔離される。
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