95人が本棚に入れています
本棚に追加
「何で倒さなかったのさっ!?
これ位、突破出来たでしょ!?」
焦ったように怒りながら、声を荒げて俺を叱りつける佐助。
ー―目尻に薄く涙が浮かんでいる。
「っ…」
気づきはしたが、利き手を動かそうとする度、鈍い痛みが走るだけで何も起こらない。
パタッ、パタパタ…。
其れでも動かそうと力を入れていたら傷口が開いたのか数滴、血が垂れた。
「ちょっ!怪我してるの!?」
それを見たのであろう。
佐助が顔色を変えて近づいて来た。
素早く俺の腕を掴み傷口を見る。
結構深く抉られた傷は痛々しく後を残し、未だに血を滲ませていた。
それを確認した佐助は、布を取り出し、傷口に縛り付ける。
「いっ!」
縛られた痛みに声を洩らすと佐助は更に力を入れた。
「な、何をするのだ佐助ぇっ!」
力を必要以上に入れられたことに、涙目になりながら痛みを訴えると、
「旦那を…、守るのが俺様の仕、事なのに…」
佐助が遂に溜めていた涙を零しながら言ったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!