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「…佐助。」
忍なのに、情を丸出しで泣く佐助を、片手で抱き締めながら小さく呼びかける。
「ん、なッ…にぃ…?」
嗚咽混じりに返事が返って来たのを確認して、抱き締めていた腕を離すとまた口を開く。
「佐助は、気負い過ぎだ。別に忍だからと言って必ずや主を守るなんて出来る訳ないで御座る。それに、「…でもっ!!」
話しをしている最中に、佐助が言葉を遮って、声を荒げた。
それにふぅ、と息を吐くとニッコリと笑い、思いっきり佐助の頬を片手で抓ってやる。
「い、いひゃい!」
口を開かされている為、呂律が回らない言葉で痛みを訴えて来るが今は無視。
「今し方気負うな、と言ったであろう馬鹿者め。」
頬を抓っている片手を横に引き、パチンと良い音を立てて離す。
俯いてしまった佐助に釣られ、何気なく下を見ると血が混じった砂が見て取れた。
二人で喋っている時は忘れていたが、此処が戦場なんだということを再確認させられた気がする。
「佐助、今更だが戦の状況は…?」
すっかり本来の目的を忘れていた事に気づき、佐助が伝えに来たと思われる話しを聞く。
すると、佐助も忘れていたのか小さく、あっ、と声を漏らし口を開いた。
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