‘一読者として………’

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………全く、お前は本当に考えなしだな、道化師。お前にはほとほと愛想が尽きる。 「…………ぜ…………は…………く……っ………る……し………………………………」 いいかぁ? よーく、考えてもみろよ。 道化師は今や照明に当たってはいるが、いまにも木片と化しそうな古びた机にすら乗っていなかった。 20回を過ぎたあたりで転げ落ち、100回を過ぎたあたりで酸素スプレーを要求した。 腹筋3000回全てをクリアーしたときには…………生ける屍だった。 曰く、『腹筋が…………痙攣(略)』 阿呆が。お前に筋肉なんかあるわけなかろう!この綿人間!! 仮病はよさんか!! 「あ、そうだった」 途端によいしょとばかりに起き上がり、よじよじと古びてぎしぎしいう机によじのぼっていく。 ………この作品だって、台本書きのようなものではないか…………阿呆道化師め…………。くそバカめ…………。 「ふふ!!!!!ふへへへへへへへへへへへへへほほほ!!!!!!!!!なんてったってあの彼方さんの一番弟子。繊細さと華麗さをあわせ持つ稀代の道化師!!ワタクシの名は!?」 バッ!!と大げさな動作で道化師は客席に向かって両手を高々と上げた。 『そらのかなたでございます!』 優しい皆さんありがとうございます。客席の皆さんよ永遠なれ! ……………涙
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