58人が本棚に入れています
本棚に追加
「後三時間……か…」
ルート。
菊。
「あと少しで…」
この世界とお別れだ。
今まで、沢山迷惑も掛けたけど、本当にありがとう。
――感謝してるよ――
心から、
そう思うんだ。
……あ~あ、ルートや菊と、もっと一緒にいたかったなぁ……。
もっと思い出、作りたかったなぁ……。
「フェリシアーノ?」
「!!」
ふいに、聞きなれた声に現実に引き戻される。俺は慌てて、平静を装う。
「ん、何?ルート?」
心底心配した様子で
ルートが言う。
「顔色が優れないようだが…、大丈夫か?」
近くに居た菊も、心配そうにこちらを伺っている。
「フェリシアーノ君、大丈夫ですか?」
「全然、大丈夫だよ~。二人とも心配性だなぁ」
必死で自分自身に嘘をつく。
「ならいいのだが」
「ですね。」
―これでいいんだ…、これで―
あぁ、この幸福な
世界が、…後少しで
消滅して
しまうなんて。
そう思うと、生理的なものが頬を伝った。…駄目だ、泣いちゃ、駄目だ…!
「!?どうしたんです!?」
しまった、菊に気付かれてしまった。
あぁ、駄目だ、もう涙が止まらない。どうせなら、笑顔で残りの時間を過ごそうと心に決めていたのに。
「ッ…、う……く、うぅう……!」
「フェリシアーノ君?」
「どうした?」
とうとう、ルートも気付いてしまった。
「……、っ、…」
俺は立っている二人に座ったまま抱きついた。
「!?!」ぎゅうう
「…、何があった?」
「特に、何も……」
抱きつかれている二人が顔を見合わせて、キョトンとしながら会話しているのが聞こえる。
お願いだから
せめて今だけは
甘えさせて。
生まれ変わっても
必ず君たちと
同盟を結ぶよ。
最初のコメントを投稿しよう!