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あの強情なアーサーが折れるなんて。
「いや、俺も悪かったし、……ゴメン」
仲直りの、言葉。
……
「ッ……、」
?!
アーサー?
「……くっ…、」
まさか泣いてるのか?何でだい?
「アー………!」
「あっははははははは!」
ポカン。今の俺はその一言に尽きるだろう。
アーサー、一体どうしたんだ…?……
気でもふれたのかい?ぐるぐる思考回路を巡らせても、理由が全く分からない。
段々、何だかうだうだ考えていた事が、急に馬鹿らしくなり、思考が止んだ刹那。
「っ……、ははははははは!!!」
気分が晴れ、
2人で大笑いした。
――
――――
人通りの少ないひっそりとした並木道を、二人で歩く。風が心地いい。
「アーサー、いきなり笑い出すからびっくりしたよ」
「お前も笑ってただろ。」
「そりゃあそうだけど、何で笑ってたのか俺には全くもってさっぱりなんだけど」
さっきから抱いている疑問を率直に聞いてみた。
「あぁ……、…昔お前と大喧嘩したろ?その時の仲直りの仕方と似てたから、つい……、懐かしくなってな…」
そういってアーサーは、優しく微笑んだ。
あぁ……、なるほどな、そういう事か。
「大喧嘩」かぁ……、そういえば、昔よくやってたなぁ。
どれぐらい前の出来事だろうか。
…月日が経つのは早い。
……、少なくとも昔よりは、お互い大人になったんだ。
月日は人を変える。
「あの時のお前の泣き顔、可愛いかったぞ」
「なっ……!、うっ、うるさいぞ!!俺はHEROだから、カッコイイんだぞ――!!」
「はいはい」
クスクス、と再び笑いながらアーサーがしてやったりな顔をしていた。……全く、この兄は…!訴えてやるんだぞ!
そんな俺の感情を表すかのごとく、突然風が大きく吹いた。
風に靡いた、
金色の髪が、
とても綺麗だと思った。
グリーンがかった君の目には、俺が映っている。
……昔から、何も変わらない。確かにアーサーから独立したのは俺自身だ。だからといって今のアーサーが嫌いな訳じゃない。
ふと、アーサーが俺から目線を外した。……その目は、どこか遠くを見ているようで。
悲しい目をしていた。何を考えているんだろう……。そんな考えが頭に浮かんだ時だった。
。
「…本当に、…あの頃は良かったよな……」
ズキン。
……また、
昔の話をするのか。
昔のアルは凄く可愛かっただの、何だの。
過去を振り返って何の特がある。
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