北国伝説

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『開拓史』 北海道の開拓は多くの人々の苦労の結果である。 未開の原野を切り開き、人が住める土地にしたのには罪人達の功労が大きい。 特に道路に関しては怪奇な噂がそれを物語る・・・・ 北海道が未開の大地だった頃。開拓にはまず、原野を切り開いて物資を運ぶための道を造る必要がある。この道の多くを造ったのが、罪人達である。 人権が軽んじられていた時代、北海道に送られた罪人達は過酷な労働を強いられた。 罪人達は数人単位で鎖でつながれ、脱走が出来ないような状態で労働に臨んだ。 そして極寒の大地での労働はあまりに過酷、多くの人が疲労と病に倒れ命を落とした。 亡くなった罪人は手厚く葬られることもなく、その多くは道路沿いもしくは道路の下に埋められたという。 そして時々道路工事の際に人骨が出土することがあるが、これは罪人の遺体であるといわれる。 出るのは骨ばかりではなく、無念の死を遂げた罪人の幽霊も出ると噂されており、某国道も多くの罪人達の犠牲の上に造られたという歴史を持つ。 この国道で彼らの幻影を見る者も少なくない・・・・ 濃い霧が立ち込める薄暗い日中にその国道をドライブをしていると工事を行う人々の群れに出会うことがある。 前触れも無く突然現れる彼らの格好はどう見ても時代遅れ、おかしいと思い振り返ると既に姿は見えなくなっているという。 悲しい歴史を知る人は事を理解し、今も働く工夫達に手を合わせる。・・・・・
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