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唐突に起こる光の爆発。
あたしの体が発する光が部屋中を白く塗りつぶし、そしてそれに伴う発熱により体の構造を変えて行くのが分かる――。
というのをあたしは想像していたのだけれど、実際は呆気ないものだった。
急に目の前が真っ暗になったと思ったら次の瞬間には明るくなる。
あら? 視界が少し高くなったかしら?
「――お嬢様、ですかな?」
自発的にベッドの向こう側まで逃げていたセバスチャンが恐る恐るといった感じで声を掛けて来た。
ベッドの陰から目だけ覗かせているのが少し可愛い。
『ですかな?』と言われてもあたしはあたし。とりあえず彼の方を向いて頷いてみた。
「そ、そうですか……今姿見をお持ち致します」
そう言ってベッドの陰から立ち上がると、部屋の隅から姿見を運んで来る。
うう……すごく不細工だったら嫌だなあ……。
あたしから少し離れた場所に姿見は置かれ、彼は角度を調節してあたしに向けてくれた。
うわ……男だ。
髪の長さは変わらないけど、その色が茜色から黒に。
なぜか瞳の色が逆に黒から赤に変化していた。
そういう呪いなのかしら?
身長は多分二回りくらい高くなってるわね。男に生まれたらこの位になってたのかしら。元々セバスチャンより少し低いくらいだったから今は見下ろす程だ。
……着る服に困りそう。
顔の造形はあたしに兄が居たらこんな感じかなっていう位。
「ねえ、少しつり目が酷くなってない……? 何か悪い人みたいに見えるわ」
「そうですかな? 元々そういう顔付きでしたぞ?」
失礼な事を吐かす執事にはとりあえずチョップをお見舞し、あたしは自分の発した声の低さに驚いていた。
元の声が甲高い分すごく違和感があるわ。慣れるまでは自分で自分に驚くかも知れないわね……。
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