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ずっと眺めていても仕方ないので寝る事にした。
セバスチャンが言うには、あたしを一瞬闇の塊みたいなのが包み、それが晴れた時にはもう変身してたらしい。
まあ、明日から旅するんだし派手じゃない方が嬉しいけどね。
準備はセバスチャンが完璧にしてくれるみたい。でもあたし剣とか使った事ないんだけど。そこらへんも大丈夫なのかしら?
一通りあたしの寸法を測り終えた執事は一礼して退がり、残されたあたしはベッドに転がった。
この呪いが解けるまでは『女の子!』って感じの服は着られないわね。……でも良く考えたら元々動きやすい服ばかり着ていたからそんなにショックじゃないかも。
むしろ、あの底意地の悪い執事がフリフリの服を荷物に詰めないかの心配をした方が良いかも知れないわ。
あたしは仰向けになり、少し大きくなった手のひらを握ってみた。
――やっぱり腕力も強くなってるわね。さっきセバスチャンにお見舞したチョップも痛そうだったわ。
お義母様のせいで旅をする羽目になったけど、旅はしやすくなったかも知れない。
最初から旅をする予定だったと考えれば前向きに考えられる。
いつかは世の中を見て回りたいと思っていたし。お婿さんも探さないといけないもんね。
……うわ。忘れてた。
あたし今、男の姿だった。
お婿さんどころの騒ぎじゃ無い。
こんな女誰も相手にしてくれないに違いないわ。
うう……お義母様許すまじ。
あたしは決意を新たにしつつ灯りを消し、明日に備えて目を閉じた。
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