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「ふぐぅ!?」
顔面に靴裏の跡を盛大に残したままセバスチャンが芝生の上に伸びる。
あたしは蹴った反動を利用して体をひねり、両足で綺麗に着地。
うん。今日も絶好調だわ!
執事のセバスチャンは五十を超える歳の割にケガ一つしてる所を見た事が無いもの。
きっと今回も大丈夫でしょ。
数秒ほど執事を観察してケガの有無(足跡は除く)を確認したあたしは屋敷の裏門目掛けて走り出した。振り返った背中の方から「む、無念……ガクリ」とか聞こえるけどそんなの無視無視。
そんなセリフで情にほだされる程ヤワな育てられ方はされてない。
それは芝生で伸びてる育てた張本人が一番理解してるはず。
そんな些細な事はさておき、今日はどこへ遊びに行こうかしら。
外で待っている刺激を想像するだけで頬が弛むのが分かる。屋敷の中だけでおしとやかにしておくなんて、きっと退屈すぎて死んじゃうわね。
いつもクドクド「貴族の娘たるもの」とか「ワシが若い頃は」とかお小言が煩いお父様も今は戦争に行ってて居ないから、あたしは気兼ね無く遊びに行ける。戦争に行ってる事自体が少し心配だけど、あのお父様は多分何やっても死なないんじゃないかしら?
魔法を素手で掴んで投げ返せるような人だし。
確かセバスチャンが体質がどうとか言ってたけど良く聞いてなかったから知らない。別にお父様の強さの秘訣に興味無いし。
死ななければ良いんじゃない?
あたしは足取りも軽く裏門を抜け出し、とりあえず森の広場で待っているだろう子供達の元へ急いだ。
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