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計画も立てたところで早速出発する事にした。のんびりする理由も無いし。
「じゃあ早速出発しましょ。準備は出来てるんでしょ?」
「もちろんでございます」
恭しく一礼するセバスチャンの姿に満足し、あたしは立ち上がった。そしてそのまま外に出る。
庭で待っていた厩係が厩舎に走って行った。
「お嬢様、ウマには乗れますかな?」
厩舎から出されて来る二匹の白毛に鞍を付け、荷物を括りつける。
「当たり前じゃない。みっちり仕込んだのはあなたよ?」
軽く睨むあたしをよそに、彼はウマの後ろからよじ登って鞍へ落ち着いた。
「フォッホッホ。一応確認という奴ですな。ではお嬢様、参りましょう」
あたしもウマに飛び乗り合図を送る。彼らはそれに応えて勇ましい鳴き声を上げた。
「チュー!」
ウマネズミ。通称ウマ。
何か『馬』っていう動物に似てるからこんな名前らしいけど、どんな動物なのかしら。
太い後ろ足で力強く進むのは良いんだけど、揺れが酷いのが難点と言えば難点かも知れない。
あたしとセバスチャンの旅は始まった。そんなに長くならない予定ではあるんだけど、どうなるか全く予想がつかないわ。
とにかくこの変な呪いをなんとかしないと……。
あたしは何でこんな事になったのか考えてみた。視界が揺れて考え事するのも大変だったけど。
元はと言えばお義母様が悪い。
あんな不用意な場所で密談した挙げ句に意味の無い呪いを掛けたのだから。
だけどそんなお義母様を招き入れたのはお父様。
その怪しさに気付きながらも対処しなかった使用人達。
気付きもしなかったあたし。
……多分今の境遇は、周りの元々の環境のせいね。
ああ。不遇だわ。
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