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 トウグウ  ウエモンノスケ   ミチツラ 「春宮様、右衛門佐様、通行殿 まで!」          ギョウケイ  春宮はお忍びでの行啓が楽し くて仕方ないご様子、いたずら っ子のように微笑んでおられま す。  右衛門佐様は、何故か私を見 た瞬間、頬を赤らめました。私 もつられて赤くなった気がしま す。  通行殿はこのようなお席に慣 れておられないため、そわそわ 落ち着かないご様子です。が、 右衛門佐様が赤くなったのを見 て、不愉快そうな表情を頬に走 らせました。 「遅くなりまして、申し訳ござ いません」 「気にすることはないぞ、上総 殿。それよりも、到着早々申し 訳ないが、準備に取りかかって くれ。  静香、後は任せた」  宮様は訳のわからないことを おっしゃいます。それが今宵の 『趣向』とやらなのでしょう。  
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