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翌日、朝食を食べ終えた俺はすぐに検診があると言うことで、麗とろくに会話もせずに病室を出てしまった。
いや、実際は話す時間も暇もあったのだが、麗が全く喋らなかったのだ。
俺から話しかけても反応が「…ん?」とか、もう会話にすらならない…。
そして検診が終わって、戻ってくると二度寝しているのである。
「マジか……」
今日で分かった、麗は朝が弱い。
―飯食ってすぐ寝るとか太…いや、コイツは太って良いのか…―
ベッドの縁で麗を見下ろしたまま地味に一人で突っ込んだ。
こうして改めて見るとやっぱり細い。
昨日抱き締めた時なんかは、マジで加減しないと折れてしまうのではないかと思うほどしか厚みが無かった。
朝食はちゃんと残さず食べていたが、今思い返すとかなり無理して食べていたような気もする。
本人にも痩せすぎている自覚はあるのだろう。
「ん…」
吐息をもらして寝返りをうつ麗の寝顔は、うなされている訳でもないのにどこか寂しそうで、あまり心地良い眠りをしているようには見えなかった。
出会った時からそうだが顔色も良いとはえない。
麗はいつもこんな風に眠っているのだろうか。
もし麗が昨日話した通り、今まで誰とも深く関わることなく、独りで生きていこうと周囲に壁を作っていたのだとしたら、俺だったらとてもじゃないけど耐えられないと思う。
そして、もし昨日までの何の変てつも無かった俺がそんな麗と普通に出会っていたとしたら、俺は間違いなく戸惑い、離れていたと思う。
そう考えると安らかに眠るのは難しいのかもしれない。
むしろ、眠れているだけましなのだろう。
だが、寝ている間くらい休まないで、いつ心を休めるんだ。
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