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中身は柔らかい柔らかい肉がつまっているのだ。
その中身を炎で焼かれたら、どんな苦痛を伴うのだろうか。
それを想像しただけで、私の表情は笑みへと変わる。
惜しむらくは、じわじわとなぶり殺せないという点だけか。
「臨兵闘者皆陣列在前」
抑揚もなく私はそれを、十字を切り唱える。成功率を高めるため個人的に早九字にしたくはなかったが、片腕が無いのだ。仕方がない。
私の手には光を帯びた刀が現れる。九字の呪法による神剣だ。
無論、これでも虫けらの体を引き裂く事は出来ないだろう。
虫けらはまた足で私を引き裂こうと試みる。
私はこんな、術すら使えない小物に苦戦していたのかと思うと腹立たしく感じた。
私はそれを軽く受け流し、跳躍した。
相手は一撃を放った後。もう一撃を放つには溜めが必要。
斬らなくても良い。突き刺すのだ。
その攻撃を一点に集中すれば、攻撃力は数十倍、いや数百倍にもなる。
その時、気づいた。私がこの虫けらを許せないと思う感情。それは怒り。そして私が怒りを灯すその理由も。
――だって、誰だって自分のオモチャを壊されたら、怒るでしょう?
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