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死臭とでも言うのだろうか。鉄サビのようなにおいなどが辺りを漂う。
それが余計に吐き気を誘うのだ。
「……無粋ね」
女はこちらを見やる。興味なさげな表情で。
蔑むかのような、彼女のその表情すらも美しい。
端正な、どことなくキツそうな雰囲気を持つ顔。彫像のように整った肉体。長くのばされた、その黒髪。それら全てが美しい。
だが、どこか嘘のある美。まるで人形のようだ。
「な、なんなんだよ、お前……」
この場にようやく慣れてきて、吐き気もおさまった。
俺は混乱する頭で、ようやく出て来た言葉を口にした。
「……陰山珠華〈カゲヤマ タマカ〉」
「名前聞いてんじゃねぇよ!! これはなんなんだって聞いてんだよ!!」
俺は周りに広がる惨状の中、床に散らばる生首や腕などを指しながら虚勢を張った。
そうしないと、狂いそうになるから。
それに対し彼女はまるで雑務をこなすかのように、無表情にこう返した。
「食事」
「食事!? これが!?」
「えぇ、貴方もするでしょう? 貴方もいかがかしら?」
彼女はニコリと笑うと、その手に持つ生首を俺に差し出した。
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