465人が本棚に入れています
本棚に追加
最悪だ。
最悪な1日だ。
「どうしたんだ透? いつもにも二割方増して暗い顔して」
遅刻の事で軽く担任の澤山、通称さっちゃん(32才 男)に搾られ、机に突っ伏しているとクラスで唯一知り合いと呼べる佐々木 淳二(ササキ シュンジ)が馴れ馴れしくも話しかけてきた。
窓際三番目という微妙な席から空を見ていた視線を右に動かすと、人の机に勝手に手を着き指紋を残していやがる。
「俺の机に触るな。イケメンが移る」
「それは誉めてると受け取って良いのか?」
口元を吊り上げ苦笑いをしやがる。淳二は二枚目、健康的に焼けた黒い肌、整った顔立ち。髪はソフト天パでワックスも付けて無いのに髪型がお洒落に決まってる。序でにスポーツ勉学共に順調、ガッチガチのかっこいいポジみたいだが、目元のホクロが可愛らしさも演出中。
あぁ嫌だ嫌だ。
見るのも嫌だ。
トイレで自分の顔見るのが嫌になるんだよな。
「今日は疲れたんだ。イケメンを見ると余計に気が滅入るから、そっとしていてくれ」
「会長と喧嘩でもしたのか? いつもなら、ウザイくらいにテンション馬鹿上げしてるのにな。まぁ、昼にでも教えてくれ」
俺の魂が抜ける様な呟きを聞き、淳二は失礼な事を言い残し自分の席へと帰っていった。
喧嘩……ツインコンチキショウ。
会長……アイラブユ~。
再び窓から空を眺め、教卓から教師の声が聴こえた様な気がしないでも無いが、そのまま瞼を閉じ視界がブラックアウトした。
ツイン……コンチキショウ。
最初のコメントを投稿しよう!