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バアァァアアン!!
沢庵にジャムを付けて食し、胃が異常反応して嘔吐感と闘っていると、勢い良く下の扉が開いた。
嫌な予感がして仕方無い。
「あのぉ~、神羅さん。神羅 透さん居ますか?」
今朝聴いたソプラノボイスが俺の名前を発する。
嘘だろ。止めてくれ。
「あのぉ~すいません。透さん来てませんか? 幸薄そうな独り身の冴えない男子なんですが……」
ほふく前進で貯水槽の影から覗くと、やはりツインテール恵がベンチに座るカッポーに気まずそうに情報を聴いていた。
なんて失礼な奴なんだ。
カッポーの片割れの男子生徒が、無言で此方を指差しやがった。あの野郎、自分の世界に入ってたくせにちゃんと見てたのかよ! おとなしくイチャイチャしてれば良いものを……。
ツイン恵は頭を下げると、此方に着実に近づいて来る。
脱出をしなくては!
弁当箱を包み、瓶の蓋を……。
「こんな所に居たの! 探したんだから! どうせ一人でお弁当食べてたんでしょ? 私と一緒に食べましょ! べべべ別にアンタが寂しそうだからじゃないからね! 私が一緒に食べたいだけよ! かかか勘違いしないでよ!」
速い!
いつの間に梯子を登ったんだよ!音もしなかったぞ!
「……何かツンデレ間違ってない? ドストレート一直線なんだけど」
隣に腰を下ろし、赤面しながら変なツンデレを披露する恵に、不覚にも突っ込んでしまった。
「……合格」
恵は肩を震わせながらポツリと呟き、いきなり俺の肩を両手で掴む。
「流石ね! 合格よ! さぁ、挨拶もあるし部室に行くわよ!」
何を言ってんの? 頭悪いんじゃね?
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