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走り去るおんにゃのこの背中を唖然としながら見送っていると、近くの工事現場からラジオ体操のリズミカルな音楽が流れてきた。
「あぁ、もう9時前か。……9時前!?」
慌ててポケットに入れていた携帯を開くと、画面に4月のカレンダーの上に黒字で8時55分を表示している。
冷や汗が背中に浮かぶ。焦る俺を待ち受けの本を読んだ長門が液体ヘリウムみたいな目で見ている。
「長門、力を貸してくれ! なんならホーミングモードでも何でも良い!」
俺は走った。まだ半分も進んでいない通学路を、メロスも真っ青セリヌンティウスも軽く引く位の全力疾走で学校にひた走ります。
目的は五分遅刻。このままだと、どうやっても10分はオーバーしてしまう。
「燃えろコスモ! 散れ千本桜! 足にチャクラを溜めるんだぁああ!!」
通勤中のサラリーマンや家の前を掃除するマダム達の目線を気にする事無く、俺は校門というゴールを目指した。
まだ居てくれ!
俺を待っててくれ!
序でに抱き締めてくれ!
突き当たりに見える校門から立ち去ろうとする人影に向かって俺は倒れこんだ。
「二年三組神羅 透! ただいま遅刻しました!」
砂煙が舞うグランドに寝そべりながら叫ぶと、一人の女性が仁王立ちで腰に手を当て見下ろして下さいました。
「また君か……。何度も言わせるな、遅刻したらダメじゃないか……」
あぁ……セリヌンティウス、俺はやり遂げたんだ。
誇りに思って身代わりに死んでくれ。
good bye
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