手首の傷痕

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「詳しくは、うちの店のサイトでも見てみて。」 僕はアケミに、そう答えるに留めた。 「この店、ホームページあんの??!」 なんだか意外だとでもいうように、アケミは目を丸くする。 「はい、これ…うちのチラシ。興味あったら、QRコード携帯から拾ってみて。」 正方形の枠内に、ゴチャゴチャとモザイクみたいな模様のソレを、僕は指差して言った。 「うん、学校着いたらやってみる。」 上手いこと、話題を逸らすことが出来たみたいで アケミは、これ以上突っ込んだことは聞いてこなかった。 やがて…8時15分…少しずつ、パラパラと朝一番のジュース目当てに、お客さんがやって来る。 アケミは、そっと席を立ち お行儀よく「ごちそうさま」と言った後…エナメルピンクの派手な小銭入れを出した。
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