手首の傷痕

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カップを受け取り、一口含み…円香さんは顔を上げる。 「美味しい。やっぱり美味しいですね。」 なんて嬉しそうに言うんだろう…僕は、円香さんの顔に見とれていた。 「店長さん、さっきの高校生のコ……」 ふいに、円香さんからアケミの話を出され 僕は飲んでいたジャスミン茶を、吹き出してしまった。 「だ、大丈夫ですか?!」 円香さんは、すぐにバッグのポケットからハンカチを取り出し 僕に差し出した。 「あ、ご、ごめん、」 僕はハンカチを受け取り 口周りを拭いた。 ほのかに、柔軟剤ではない 花の香りがした。
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